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痩せっぽっちの体をそっと抱きすくめる。
「市丸様…っ……ぅ」
「もう泣かんの。男の子やろぉ?」
苦笑いし、涙をふいてやるとやっと本当の笑顔を見せた。
「ちゃんと笑えるやん…なァ、家何処なん?」
「っ…はい、…あそこに家があります」
指差した場所は辺のすぐ近く。この子一人であんな広い所に住んどるんや…。
寂しいやろうな…
「此処で食料と水を貰っております」
綺麗な水はやっぱり飲み水らしい。よく木を見ればりんごや木の実がなっている。
こんな所あるなんて知らんだなァ~…
おっと、ボク大事な事忘れてるやん……
「じゃあ…両親サン達ん所、連れてってくれる?」
「…はい……きっと喜んで貰えます」
両親の墓場まで案内してくれるイヅル。
小鳥達がイヅルに寄ってくる。
「イヅルは鳥サン達にも人気やね」
頬をほんのり赤くして「そんな事ありません」と、恥ずかしそうに言った。
「此処?…イヅルはお母さん似ぽいなァ~」
イヅルの母親の名前はシヅカサン。名前からして似てそう。
「よく父上に言われました」
ほら、やっぱな♪
「お父さんの名前…か。カゲキヨさん?」
「はい!」
景清と書かれた字は勇ましい。明らかにイヅルは母親に似ているのだと心の中で笑ってしまった。
二人でお参りして、辺で咲いていたお花とりんごを備えてあげる。
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