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ヒラヒラと散ってゆく
私のこの儚さよ
まるで蝶のよう
蝶よ 羽根をちらつかせ
お前は一体 何処へ行くの?
何のために お前は生きるの
蝶よ お前の目には
何がうつるの?
―――パチパチパチパチ―
茶店の舞台で盛大な拍手が送られている。
何やこの騒ぎは…
ボクはその騒ぎがある所まで行ってみる。
さっきの拍手は終いの合図だったらしい。客は皆、涙を流し、「いい歌だった」と帰って行く。
歌?
今日何かのイベントでもあったんやろか?
客が全員帰り、一人とポツリと席の前にいるボク。
舞台を見てみると、蝶柄で紫色のした珍しい着物を着た子が立っていた。
碧い瞳、黄色い髪、色白な肌…
全て完璧なのに、
光のない瞳。
あないに拍手もろてんのに、嬉しゅうないんかな?
「あの…?」
気付くとその子に声をかけられる。
綺麗な声、どんな歌歌ってたんやろか?
「お客様ですか?」
「ぇあ…あ、う、うん。そう。でももう終わってまったやろ?」
客じゃないのに客と言ってしまった。取り敢えず笑ってごまかす。
「かまいませんよ、僕は一人ですから」
え、僕?
「男の子…?」
「はい、吉良イヅルと申します。一人唄をやっております、宜しくお願いします」
女の子やとばっかり…
丁寧な喋り方やなァ、ますます女の子って感じや。
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