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しかし啓太はまったく怖がることなく、生徒指導員の方に視線を向けた。
「つーか先生……鼻毛でてるよ」
見るからに性格の悪そうなへの字型の眉をひそませ、悪戯な笑みを浮かべた。
「なっ……!?」
生徒指導員は真っ赤になり、慌てて学年主任の方を向く。
「ほっ本当ですか金子(かねこ)先生!?」
細い目をさらに細くして、学年主任は生徒指導員の鼻を念入りに調べたが、特にそれらしきものはない。
「角田(つのだ)先生、何もありませんよ?」
「なに!? おい穴沢、どこに……」
勢いよく啓太の方へ向きなおした角田の目には、誰も座っていない椅子が映った。
入り口のドアが開いていることから、作戦にハマったことを悟る。
「あのクソガキ……覚えてろよ!!」
タンクトップの上からでもはっきりと筋肉の線が見える程、角田は怒りを力で表し、叫んだ。
金子は角田の威圧感に、小柄な体を一層縮こまらせた。
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