慌てん坊のサンタクロース

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 見慣れた道、見慣れたお店。見慣れた街並に、私の見慣れた恋人の姿はどこにも、なかった。  すっかり夜も更けてきた街を歩いていると、ふと、一軒の店が目に止まる。服屋さんだとか、ケーキ屋さんみたいなお洒落なお店じゃない。ただの、ありふれた携帯ショップだった。  先月、孝は携帯を私と同じ会社のものに買い換えた。 「これで、時間気にせずお前と話せるな」  嬉しそうに笑った孝を、私は今でも――いや、いつまでも覚えているだろう。  しかし、その携帯が使われたのはたったの一ヶ月だった。  孝は普段使わないだろう機能なんかも熱心に店員さんに質問していたのに、その携帯が使われることはもう二度とない。
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