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───その日の夜───
亡くなったゆうきのお通夜が行われていた。
クラスのみんなが涙を流し、心の底から悲しんでいた。
お通夜が終わるとひかりは一志の病院へと向かった。
そこには〈太陽の家〉の園長先生と呼ばれている優しそうなおばあさんの姿があった。
「あら?どちら様でしょうか?」
園長先生はひかりに問う。
「あっ、はじめまして。
私は神童君のクラスメイトの蘭堂ひかりといいます。」
「あぁ、あなたが一志君が今日助けた娘ね?
ここに運ばれてきて眠る前に少し話を聞いたのよ。」
と優しく言った。
「そうなんですか?
あの…今日は本当にすいませんでした。
私のせいで神童君が…」
ひかりは申し訳なさそうに謝った。
しかし
「気にしないで。
あなたは何も悪くないわ。」
と再び優しく言った。
(素敵な人だなぁ…)
そんな気持ちで一志が目を覚ますまでいろいろな事を話した。
一志の親がいないこと、赤ん坊の頃から〈太陽の家〉でずっと育てられてきたこと…
そんな事を話しているうちに一志が目を覚ました。
「……くぁ~…蘭堂さん?園長先生も…?
あっ、そうか!」
目が覚めて今日起きたいろんな事を整理出来たようだ。
「そうそう、先生が特に目立った外傷もないから目が覚めたら退院出来るって言ってたわよ」
園長先生は思い出したように一志とひかりの二人に言った。
一志はちょっと考えて
「…園長先生は先に帰っててくれるかな?
もう遅いし、俺は蘭堂さんを家まで送ってくよ」
時刻は21時を過ぎていた。
「あらあら、それなら仕方ないわね。
じゃあ私はお先に失礼するわね」
園長先生はとても嬉しそうに二人を見ると、ひかりにお辞儀をして先に〈太陽の家〉に帰っていった。
一志とひかりは少し照れながら顔を合わせると
「じ…じゃあ、たから山に行こっか?」
「そ、そうだね…//」
一志達は受付でお礼を済ませると、その足でたから山へと向かった。
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