101人が本棚に入れています
本棚に追加
その時誰かが、
「あの子が蘭堂ひかりだ」
とタウロスに言った。
「…そうか」
ニヤリ、とタウロスが怪しく笑いひかりに近づいて行くとクラスのみんなは教室から逃げ出した。
「な…なんなの?」
眼には涙を浮かべて震えた声でひかりは言った。
タウロスは黙ってひかりに向かって右腕を振り上げた。
(これって?
夢でみた光景と同じだ!?
…っ助けなきゃ!!)
一志はひかりを抱え込むようにしてタウロスの攻撃から逃れた。
しかし…
ガッ!!!
大きな衝撃が一志を襲った!
タウロスのもう片方の腕がひかりを抱えた一志ごと吹き飛ばし、一志は壁に叩きつけられた。
幸い左腕には鉄球は付いていなかったので鉄球を喰らうよりかははるかにマシだった。
「ガハッ!!……ってぇ…」
全身に痛みが走り口の中は血の味がしている。
「小僧…死にたいのか?」
タウロスは言う。
右腕を振り上げると一志を思いっきり殴り付けた!
一志はひかりに衝撃が届かないようにと、ひかりと間をとった。
バキバキッ!!
全身の骨が砕けるような音がした。
「守っ…てあげ…られなくて…、ごめ…ん、ね」
一志は力無く言った。
自分を必死で守ろうとしてくれた人が今、倒れる。
「終わりだ…」
タウロスは右腕を振り上げ言った。
最初のコメントを投稿しよう!