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男の名は林健吾という。
ごく普通の企業に勤める三十二歳の会社員だ。
娘は美緒という六歳の子で、この四月から小学校へ通うことになっている。
妻は娘が幼稚園に入る前に病気で他界した。
美緒が幼稚園を卒園し春休みに入ってからというもの、週末と祝日以外は朝から妹夫婦の家に預けていたのだが……。
「美緒がいなくなったのは三日前……日曜日のことだった。俺が隣に回覧板をまわしに行って帰ったら、もういなくなっていたんだ」
林は言葉を切ると深々とため息をつく。
提灯の下に置いた丸椅子に腰掛けていた十夜は、ちょっと首をかしげてたずねた。
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