1 『十夜』

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「そうだ、ラーメン代……」  林は思い出したようにポケットを探った。 「そんな、いただけませんよ。僕からの応援代わりにもらってください」  あわてて両手を振る十夜に、林はちょっと笑って答える。 「ごちそうさま。今度は、美緒と一緒に来るよ」  まだ力無さを感じる微笑だったが、十夜が最初に彼を見たときのような絶望感はもう見受けられなかった。  
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