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十夜の住む街から駅2つ隔てたところに、さほど大きくはない山がある。
天津山(あまつやま)というその山は、山頂に展望台のある公園を持つ。
そこまでは、車道と小さなロープウェイで行くことができるのだ。
公園に踏み込んだ十夜は、よく晴れた青空を見上げる。
悠々と翼を広げて旋回していた鳥が舞い降り、十夜の肩に止まった。
前日、十夜が召喚した式神である。
一晩かけて探し物を見つけ、その場所を知らせて来たのは今朝方のことだった。
「ご苦労様」
十夜がささやくと、その姿は音もなく崩れ、白い炎となり消えた。
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