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「さてと……」
一つ呟き、十夜は公園の奥へ向けて歩き出した。
誰かとすれ違うことはない。
先程の式神に『人払いの結界』を張らせたのである。
この結界は、結界内を周囲の人間に「そこにないもの」として認識させる。
そして無意識のうちにその場所を避けるようになるのだ。
十夜は、やがて前方に池を見出した。
そちらの方から、微かに聞こえてくる。
風に乗って流れる、小さな歌声。
静かでやさしい、それでいてどこか物悲しい――。
「子守唄……」
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