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彼の手を離れた呪符は女から放たれる火球の間を縫って、閃く。
女が身を引こうとした時には、すでに5枚の呪符に囲まれていた。
「耀!」
十夜の声に、呪符が放つほのかな光は紅蓮の炎と化す。
炎は細く縄状に伸び、まるで炎でつくられた蛇が五匹現れたようだ。
女を守る炎を打ち消しながら、見る間に炎の網を織り出して女を絡め取った。
動きを封じられた女は、術を破ろうと必死にもがく。
『イヤァァア! 真優……』
「その子の名は美緒。真優ではない」
穏やかに諭す十夜の声。
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