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「その事故を起こしたのは、私の運転手だよ。君も新聞などで見ただろう?」
その言葉に、女は笑ったようだった。
「いいえ。あなたが、殺したのよ」
断言した女は、顔にかかる髪を右手で後ろに流した。
抜けるような肌の白さ。血のような赤い唇。美しい顔があらわになる。
それを見た小川の表情が一変した。
血の気が引き、白を通り越して土気色になった顔からは汗が一気に噴き出した。
「おおおお前は、お前は私が殺――!」
そこまで言って、はっとして口をつぐむ。
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