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目の前に立っているのは一人の青年だった。
街灯で逆光になっているが、白い肌と対照的な黒髪。わずかにくせがあるのか、ふわりとした印象を与える。
Tシャツ、ジーンズ、黒いエプロン。そして先ほど感じたラーメンの香りを身にまとっていた。
彼は返事がないのを心配してか、しゃがんで座り込む男に目線を合わせた。
「貧血ですか? 急にふらふら~っときちゃったみたいですけど」
見た目とは裏腹な、おっとりとしたしゃべり方。
彼がしゃがんだとたんに、嫌でも食欲誘発するラーメンの香りがふわりと舞った。
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