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無我夢中で引き金を引いた。
二回、三回――立て続けに銃声が響く。
すぐに拳銃はカチ、カチと空しい音を立てた。
十夜の目の前に白銀色の鷹が現れ、障壁を作ったのだ。
言うまでもなく、霊体である宏子にはあたるはずもない。
小川の震える手から拳銃が落ち、アスファルトの上で乾いた音を響かせた。
「ひぇいぃぃ!」
情けない悲鳴を上げ、小川は道路ヘ向けて走り出した。
その足元を、発光する呪符が一瞬にしてすり抜ける。
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