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足に痛みを感じ、バランスを崩して転倒する小川。
見ると、両足のふくらはぎのスーツが裂け、脚には鋭利な刃物で切ったような鮮やかな傷ができていた。
痛みに立ち上がることができず、はいつくばってまで逃れようとする哀れな中年男は、腰を踏みつけられ動きを止めた。
上から踏みつけられ、小川はアスファルトの上に無様にはいつくばる。
首を動かし振り仰ぐと、そこには自分を踏みつける青年の姿。
その瞳は真冬の氷泉の如き冷たさで小川の姿を射抜いていた。
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