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小川の心中はひとつの言葉であふれかえる。
――殺される!
「た助けて……頼む! 私が悪かった!」
「小川先生。その言葉は、偽り無きものですか?」
「ああ、心からそう思ってる。すまなかった、この通りだ!」
小川は滝のような汗を流しつつ、不自由ながらも両手と額をアスファルトに押し付けた。
無様に土下座する男を、十夜は黙って見下ろしていたが、
「そうですか」
一言口にすると、あっさりと小川の身体から足をどけた。
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