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パンクのせいでハンドルが取られて蛇行するが、かまいはしない。
少しの距離だけ走行し、あの男を引っ掛ければそれでいいのだ。
あの男を生かしておくわけにはいかない! でなければ、何のためにあの親子を殺したのか……。
十夜の背中が一瞬にして近づく。
車は半ば回転しながら、十夜の身体を跳ね上げた。
小川を乗せた車は、ブレーキ音を響かせながら駐車場を出て行く。
それを見守る、一人の後姿。
小川の車が左折し見えなくなったのを見て、かすかに微笑む。
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