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駐車場から飛び出した車を止めるべく、小川がブレーキを踏もうとした時だった。
山肌を回り込むようなカーブの先から、ふらりと現れた小さな影。
「――!」
力いっぱいブレーキペダルを踏み込む。
タイヤひとつパンクした車は、車体を振りながらカーブを半分過ぎたところで止まった。
直前で、小さな影を跳ね上げて……。
小川は慌てて車を降りた。
全身が震え、扉を開けるのもままならず、やっと外に出て後方を見る。
アスファルトには、黒々と残されたタイヤの跡。そして、その上に横たわるのは――。
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