1 『十夜』

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 ぐうぅぅ――と、眩暈を起こした男の腹から素直な反応が返ってきた。  男は思わず顔を赤らめる。  そういえばここ2日ほど、ろくに物を食べてなかったような気がする。  目の前の青年は屈託のない笑顔を見せた。 「なぁんだ、おなかすいてるんですか。じゃあラーメン食べてってくださいよ」 「え……」  青年は男の手を取り立ち上がらせた。  ほっそりとした印象だったが、彼の方が背が高い。180cmはあるだろうか。 「ほら、あそこにあるのが僕の店ですよ」  
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