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小川が視線を向けたと同時に、現れたのは先程の女。
山野宏子だ。
彼女は小川の前に転がるものを見て、小さく悲鳴を上げて駆け寄る。
5年前の記憶の再現を、小川はうつろに眺めていた。
かつてと同じように、死んだ子供の母親は泣き喚き小川を責める。
気がつけば、いつからだろうか一切の音が消えていた。
昼間だったはずが、五年前のあの時と同じく夜になっている。
そうか――夢なのだから、そういう事もあるだろう。
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