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ましてやこれは夢の中。なおのこと殺すことに抵抗を感じることはなかった。
地面に組み敷くようにして首を絞め続けていたモノから、力が抜ける。
それを見た小川は息が詰まった。
「ひっ、ひっ……」
悲鳴さえも出せず、後ろに転ぶように飛び退く。
首を絞めて殺した女。
そう、間違いなく女だったはずなのに。
今、そこに転がる死体。
眼球がこぼれ落ちるのではないかというほどに目を見開き、苦悶の表情のまま、一切の活動を停止したその物体。
寸分違わず自分の――小川弘一の姿をしているのだ。
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