1 『十夜』

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「ところで、おなかがすいて目が回るほど必死に探していらっしゃるものって、何ですか?」 「え?」  突然の十夜の言葉に、男は動揺した。  彼と会ってから今まで、そのようなことは言わなかったはず。  そんなに切羽詰って探している様子でいたのだろうか。  いや、それよりも今は少しでも手がかりがほしい。  男はすがるような気持ちで十夜に問いかける。 「昨日今日このあたりで、6歳くらいの女の子を見なかったかい?」 「おんなのこ……いいえ」  
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