Small Eyes

付き合って3ヵ月、セックス5回。

『避妊』の『ヒ』の字も言わなかった彼が、その次に会ったとき、コンドームを買ってきた。

けれど、12枚あるそれの11枚を残して、私と彼は終わった。

彼は色々理由を並べていたけれど、なんのことはない、重かったんだろう。

それまで彼と付き合ってきた歴代の彼女たちは、彼に避妊を求めず、ゆえに彼は、避妊しようとは考えもしなかったそうだ。

それまで私と付き合ってきた歴代の彼たちは、私が何も言わなくても、きっちりと、時にはきっちりしすぎなくらいに、避妊をしてくれた。

性文化の違いというやつだろうか。

……いや。

文化の違いはあるにせよ、セックスと妊娠が隣り合わせであることも、避妊という手段の存在も、その手段さえ100％確実ではないことも、もはや小学生でさえ知っている。

二十歳を過ぎた彼は、自覚がなさ過ぎると言わざるを得ない。

だから、彼とは別れた。

大好きだったけれど。

付き合って3ヵ月、セックス5回。

『避妊』の『ヒ』の字も言えなかったくらい。

子どもができてもいいとさえ、思っていたくらい――。