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「これ、いくらだ?」
そう聞かれて、ハッとして答える。
「1550G(ゴールド)、です…。」
それを聞くと、悪魔はずいっと右手を出す。
その手には金が握られていて、俺はその金を受け取る。
「これ、手作りか?」
「え、あ、はい。」
「ふぅん…。上手いな。」
初めて買ってもらえた上に、初めて、誉めてもらった。
悪魔は買った装飾品(ネックレス)をつけて、
「また今度、見に来るから。」
そう言って、帰って行った。
その後ろ姿にも、見とれてしまう自分がいた…。
相手は男なのに…、変だな、俺…。
「おう、良かったな、売れて!」
「あ、ありがとうございます…。」
先輩に話しかけられて、やっと我に帰った。
「それにしても、すごいな、お前。
まさかあいつに買ってもらうなんて。」
「え、知ってるんですか?」
「あぁ、もちろん。
あいつはアレク・ロイヴィルっていって、魔界じゃ結構有名らしい。
貴族の息子らしいんだが、こんな市場に来るなんてなぁ…。」
魔界じゃ有名な貴族の息子か…。
アレク・ロイヴィル…。
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