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俺達は小高い丘の上にある木の下に座った。
「で、何?話って…。」
俺がそう聞いても、アレクは俯いたまま、口を開こうとはしない。
俺は一度アレクの横顔を見て、正面に向き直した。
長い沈黙。
冷たく吹く風が、俺達を撫でる。
「俺さぁ…。」
アレクが唐突に話し始めた。
立ち上がり、俺からは表情が読めない位置になった。
「今度、結婚すんだ。
…政略結婚てやつ?」
ははっと笑いを交えながら、アレクは話す。
…なんだよ、それ。
笑いながら言うことかよ…。
俺には全然、笑えない…。
「冗談、言うなよ。」
「冗談なんかじゃない。
冗談で結婚とか、言わねぇって…。」
「じゃぁ、何で…!」
俺がそう言うと、アレクは俺の方を振り向いて、寂しそうに笑った。
「だって…俺、貴族だから。」
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