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朝になり、目覚めた私の視界に入った天井は、見慣れないものだった。
(…あれ?知らない天井……。ああそうか、私は今ティハシザーラとかいう世界にいるんだっけ…。)
やはり夢ではなかったのだと今更ながら思う。
起き上がり隣を見ると、赤紫色の髪の少女-サキ-が静かに寝息をたてていた。
(今更だけど…、この子達を信じていい…のよね…?まぁ、他に信じられるモノなんて何も無いんだけど…。)
そう、ここには私が知っているものなど何も無い。私を知る人もいない。
(私は…一人だ…。)
涙がこぼれそうになった目頭を押さえていると、隣で寝ていたサキが目を覚ました。
「…ん…。あ、マリナ…おはよぅ…。」
まだ眠そうに目をこすりながら朝のあいさつをする。
「おはよ。」
泣きそうになって震える声を隠すため、私は短く返した。
それでもサキは目ざとく私の涙を見つけたらしい。
そっと背中を撫でてくれる。
「大丈夫? 今日は学校はお休みだから、いろいろ調べられるから、がんばろう!」
「うん…、ありがとう。」
サキは明るい。
私はそんなサキを見て、3年前に転校していった梓を思い出していた。
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