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「何で僕がつく嘘がわかっちゃうの?」
最近、僕の自慢の特技はある一人の人間によって特技から外されようとしている。
「え?全部わかるんじゃないよ。たまたま、そぅかな?とか思ってたのが当たってただけ」
「それでも僕の嘘がばれるなんて…」
その名は野上良太.郎
。
いちおう僕の宿主である。
「よりによって良.太郎にばれるなんて…ちょっとプライド傷付いたなぁ…」
「うん…ご、ごめんね。(今の台詞は僕も多少傷付いた;)」
前は騙されてたのに…どうして急に騙されてくれなくなっちゃったのかな…
───連続して嘘がバレだしたのは─
町でいつも通りに良.太郎の体を借りてナンパしてた時だったかな?
これまたいつも通りに女の子がよってきて…
気に入った一人に「好きだよ」って呟いて……まぁ、実際気に入ったとか言ってもホントに好きになったわけでもなく…見繕って一番好きと呟けそうな相手を選んだ。
釣り上げようとしたその時、
『だめだよ!ウラタロス!』
心の中で声がして
僕の動作は急停止。
今日の獲物はいぶかしげな顔をする。
「…ごめんね。
今日は用事思い出しちゃったから、また今度会おうよ」
用事なんてものは無いが、さも重大な約束を思い出したかのように振る舞って笑顔で獲物を逃がした。
そんな惜しむべき大物ではなかったし、逃がしても良いんだけど…
僕の心はなにかしらの罪悪感でいっぱいだった。
(まさか良.太郎がこんな時間に起きてくるなんて…どうしようか。なんて言おう…)
良太.郎に言い訳しようと思っている自分にびっくりした。
何で今更…。
僕が夜、良太郎の体を借りてナンパしてるなんて事は良.太郎だってとっくに知ってる事実だ。
何で今更取り繕う必要があるの…?
自分の行動が理解できなくて苛々した。
『ウラタロス。今の女の子の事…好きなの?』
良.太郎が聞いてくるので、適当に言った。「もちろん!好きだよ。」
『どんな所が好きなの?』
…どんな所って…;
今回の選出基準はなんだったんだっけ?
………髪型?
そうだ…髪型が……
似てたから…
……?似てる?
…誰に?
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