ピグマリオンの憂鬱(浦良)

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AはBに期待するが AはそれをBに明示する事は無い。 しかしBは聞かずとも Aの希望を察し、 無意識下にしろ 意識下にせよ 「…その願望を叶える、ねぇ…。」 彫刻家ピグマリオンは自分で作った裸体の彫像に恋をした。 服を着せ 寝食を共にし 腕に抱いても 冷たいままの彫像に 『あぁ、貴方が人間だったら…』 と、嘆いた。 「ねぇ…良太郎」 「え?!!な、なに?!」 「このお話って本当にピグマリオンが彫像に恋した事から始まったのかな?」 「…え?だって…ピグマリオンが彫像に恋したから彫像が人間に「でもさぁ、普通に考えておかしいじゃない? 人間が彫像に恋するなんてさぁ。 …そこで、逆説で捉えるのはどうかな? 彫像がピグマリオンを先に好きになって恋焦がれるあまりにピグマリオンの心を動かしてしまった…っていうのは?」 「…でも、それだっておかしいよ。 なんで彫像がピグマリオンを好きになるの?? なんで同じ彫像を好きにならなかったの?」 「………あ。 それは盲点だったな」 なんで 君に恋したの? 「……なんでわざわざ辛い方を選ぶんだろうね。先に待ってるのはハッピーエンドって決まった訳じゃないのに…」 「……選べないんじゃないのかなぁ?」 「え?」 「…だって好きになったら…//」 ……あぁ… 「……そうだね。 好きになったら…」 選択肢なんて見えてこないのかも…。 A→Bの法則… でも… 逆は? 「ところで良太郎。 さっきから僕に言いたい事がありそうな顔をしてるけど、なにか用事かな?」 「………////;;」 Aは知らないんだろうね。 BがどんなにAを思っているのか。 「…あ、あのね//」 貴方を見つめたいから 貴方と話したいから 貴方に触れたいから 理なんて曲げてしまう程に… 焦がれて焦がれて… 「…あのね…僕…」 A→B… Aはその法則しか考えてないんだね。
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