時に、言葉より心より…(浦良)

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──夜 23:00。 ネオンが眩しい歓楽街。 今日の獲物は何処だろう…。 すると一つの声に気が付く。 「すみません!すみません!あの…スーツは洗って返しますから!!」 人だかり。 中心には背の高いガラの悪い男が3人。 向かえ合っているのは自分の背中より大きなカバンを背負った…女の子? 「どーしてくれんのかなぁ…? 今から大事な取引先と会う予定だったんだけど…このスーツじゃ行けないよねぇ?」 「ご、ごごごご、ごめなさ…」 ………あれ? あのこ…。 考えるより先に体が動いていた。 いつの間にか僕は男3人と女の子の間に立っていて…自分でも驚愕した。 末期だ。 考えないで行動するのは頭が干物なダレカの専売特許だったのに。 まさか…この僕が…。 認めなくないが コレが先輩の言う 『本能』ってやつなんだろう。 じゃあ、僕は本能の何に従っちゃったのかな? それは…結構気になるね。 僕は女の子の手を引っ付かんで小声で囁く。 「…逃げるよ。」 「え?」 女の子と目が合った瞬間、男達の間を通り抜けて走り出した。 男達もハッとして追いかけてくる。 後ろから聞こえるガサツな怒鳴り声。 明るいネオン。 反射する眼鏡。 小さすぎる握った手。 僕らしくない。 自分から面倒な事に首突っ込んで…。 僕らしくない…。 路地裏に入ると怒鳴り声も遠くなっていき どうやら巻いたようだ。 3回深呼吸すると 隣に視線を向ける。 「大丈夫?」 荒い息を繰り返しながら僕の方に振り向く。「ら、らいじょうぶ、です。助けくれて、ありがとうございます」 言いながらニコォと笑った。 (…あれ。この子…) 一瞬、彼女が誰かに重なって…すぐに消えた。
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