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「あ!浦太郎さん、もう私を呼び捨てしてる…じゃあ私も呼び方変えて良い??」
無邪気にクルリと一回転すると小首をかしげて僕に訊ねる。
「…好きに呼んで構わないよ…」
何故か顔が熱い。
あれ?何で?何でだ?
ただ良.太郎に似てるだけだって…
え?だから…なんで…
良.太郎に似てるからなんなのさ…。
ま…まさか…僕……
「うん。浦!」
「……………///」
確定。
「…………じゃあ、探そう。まず、探してる人の名前教えて?」
──…僕ってば
─…(かっこ悪っ…//)
───…午前4時。
日が上り始めて、やっと僕らは目的の場所に辿り着いた。
「ありがとう!浦。
ホントに見付かるなんて思わなかった!ありがとう!ありがとう!」
今度は目にいっぱいの涙を浮かべての握手になった。
ブンブンと振られる腕。ヨレヨレの僕のスーツ。…心地よい疲労感。
「いいよ。いいよ。
良かったね。リョウ」
「うん!やっと会えるんだぁ…」
歓喜極まったのか浮かべた涙がポロポロ落ちた。
「ほらぁ、泣かないの。大事な人に会うんでしょ?」
「うん。うん。」
「ほら…行っておいで…僕はここで見守ってから帰るから」
リョウの背中をポンと押すと、少し不安げな顔をした後
ニコッと笑って走っていった。
「さぁて、僕の獲物を釣れる幸福な奴の顔でも拝んでやりますか」
一件のアパート。
二階の一番端の部屋。
インターフォンの鳴る音。
開く扉…
「…………おっと;」
ヨレヨレのスーツ。
ずれた黒縁眼鏡。
途端始まる怒鳴り声。
「リョウ!ここに来るのに何時間かかってるの!こっちは探し歩いて一睡もしてないよ!!」
「えっ!!なんで私が来る事知ってるの?;私…なにも「愛さんから電話きたんだよ。」
「…え。ねぇさんから?…;」
「…なんで迷子になったなら電話しないの?」
「………あ;;。」
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