いつもの六人

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「いらっしゃーい♪」 二人は愁の家に着いた。 出迎えたのはもちろん家の主である愁だ。 中に入ると玄関はだだっ広い。 さらに奥へ進むと、廊下の横に5畳ほどの箱庭。 長い廊下を突き進み、つきあたりの扉を開けると、だだっ広いリビングにダンボール数箱と大きな液晶テレビ、 そして景史郎、煌、時が座っていた。 「あ!四姫!麻緒!」 無邪気でいつも楽しそうな時。 「おう」 一方、クールな煌は時とは双子の兄弟なのだが、性格はまったく違った。 「おめーらおせぇぞ」 そう言った景史郎は所謂ツンデレってやつだ。 「うるさい、フリーター」 しかし教師には逆らえなかったりする。 「いい家やろ♪」 愁は自慢げに言った。 「愁が自分で買ったの!?」 「んな訳あらへんよ。俺まだそんなに稼いでません」 まあ将来はがっぽり稼ぐけどな~ などと言っているがもちろん全員スルーしている。 「親父からの就職祝いだとよ~」 するとすかさず景史郎が代弁した。 「ついでに液晶テレビは叔父さんから」 と煌はゴミを片しながら言った。 「なんだ、そういう事か」 なるほど、と麻緒は辺りを見回した。 「それにしても殺風景なリビングだねー」 四姫が言うように、 リビングには液晶テレビとソファー、そしてダンボールしかない。 「まだ買い揃えてないんや。まあ面倒やからしばらくこのままやろな」 それに愁は医者であるために多忙だった。 「それだけじゃないよ、この家!もったいない~」 時がそう言うのも当然である。 この広い家に一人暮らしをしても、せいぜい使用するのは風呂やキッチン以外には2部屋ほど。 「そうでなくても7部屋あるのにな。勿体なさの極みだ」 そうこの家には納戸、ウォークインクローゼット等を含まずに7部屋もある。 何しろお金持ちの家ですから。
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