第一章

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「放課後、体育倉庫にある卓球台で待っています。」  おいおいおい、放課後で、しかも体育倉庫。このさい何故卓球台かは考えないが、とにかくこれはとんでもないフラグではないのか。 こうして僕は1から6までの授業全て卒なくこなし、手紙をちらちら見てはちょっとした高揚感に歓喜していたのである。    そして只今四時ちょうど。我が校の放課後真っ盛りだ。僕は体育館までの廊下をひたすらに歩いている。ほとんど生徒の残っていない廊下はすこし不気味であるが、そんな不安感など無視して進んだ。  遂に到着。体育館入り口。ドアノブに手をかけゆっくりと、開けた。なんだろう、変な違和感があった。けっして嫌ではない。ないが、奇妙だった。まるでこれから奇想天外なことが起こるような…。  体育倉庫の引き戸を開けるとそこは薄暗く、独特の雰囲気があった。卓球台の近く。そこに、どことない人の気配がしてそこに近づいていった。 「来てくださって、感謝します。」 声がした。とても可愛く、通り過ぎた男全員が振り向いてしまうような声がした。そしてそこがうっすらと明るくなる。そこにいたのは小柄な少女だった。ここの制服を着ているので生徒だということは分かった。
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