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自分の家に帰ったのは、なんとなく。
別に理由など無かった。
母親もいつものように居ないと思った。
―ガチャ
タイミング悪ぃ…
『…あら、居たの。別に帰って来なくて良いのに』
―クスクス
…酒臭いのはいつもの事。どうやら今日は機嫌が悪いらしい
『……、本当可愛くないわね。産まなきゃ良かったわ!!』
俺の父親というべき人は、俺がもう少しで産まれるという時期に何処かへ姿を消したらしい。
裏切りや俺の存在から母親は徐々に崩れていった。と母親の友人、小さい頃俺の世話をしてくれた人が言っていた。
そんな彼女もある日を境に姿を眩ました。理由は彼女の恋人を母親が盗ったとか…。
『なによその目はッ!!―――!――、――――…!!』
愛に餓える女。
女としては綺麗な方だろう。
―ヒュッ
ッ!!
―ガシャン
―ポタポタポタ
『っ!?な、何よ!?ぁ…、あ、私は悪くないわ!!わわ悪いのはあんたよッ!!』
血ィ出ただけでビビるくらいなら、最初から物を投げつけなきゃいいのに…
「………………。」
―ガチャ
―バタン
裏切られ、自分の友人や気持ちまでも裏切るようになった母親。
望まれず産まれ、必要とされず生きている俺。
愛情ってモンが欠落してる二人。
紛れもなく間違いもなく
親子。
なんて
アスファルトに滴る赤い液体を見て思った。
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