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「嘘じゃない! 本当なんだ!」
「嘘つき! 竜なんていないじゃないか!」
「昔はいたんだもん!」
「いないよぉだ! そんなものいるはずないもんね!」
小柄な子供が背の高い子供二人にいじめられていた。
小柄な子供が泣き出すと、大柄な子供は馬鹿にしながら去っていった……。
小柄な子供はヨハン。金糸の髪が陽光に光って美しい。
アーモンド色の子供特有のつぶらな瞳は歪んでいる。
――彼は泣きながら家に帰った。
「ばあちゃん…竜は本当にいたんだよね?」
「ああ……いるよ。今は眠っているから見えないんだよ。」
ばあちゃんに優しく頭を撫でられるのが、僕は大好きだった。
ばあちゃんの話は凄く夢があって、頭を撫でられながら、僕は自分が将来は竜騎士になるってずっと信じていたんだ……。
世界はまだ魔物が各地を巣食っていた。
人の集落を襲うことはないが、旅人は街から街へ移動するとき傭兵を雇うか、自らを鍛えるしか身を守る方法はなかった。
竜騎士は伝説の存在で、もし現在もいたら魔物など目ではないだろう。
ヨハンは竜騎士になって、魔物から世界を救うんだと誓っていた。
毎日体を鍛えて、僕は力つけた。竜騎士になるからには、強く強くなるんだと思っていた。
いつしか僕――いや、俺をいじめる者はいなくなって、いじめっ子も友達になった。
それでも、竜が俺の前に現れることはなかった……。
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