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「僕らがどんな存在かわかってるよね?」
キウルは、苦虫を噛み潰したかのような顔をして、立ち上がった。
「わかっている!だが、僕たちが導くものなのは本当だろう?!」
少年は、鈴を鳴らし、聞かせるように言った。
「それでも、そこは、死の世界だよ。なんにも、ないんだ。だって、魂の心、記憶を消すんだから。俺たちが、幸せになんてー…。」
無に帰してしまうのに。
キウルは、俯いてしまうと、逃げるように消えていなくなってしまった。
自室に帰ったのだろうと思った。
赤い首輪についた鈴に触れながら、少年ー莉夜(リヤ)は月と輝く星空を見上げ、今にも消えてしまいそうな星に、少しだけ、絶望した。
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