欠けた心のカケラ

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ひとりの少女が、コンクリートの上に日差しを浴びながら寝ていた。 ここは少女の通う中学校の屋上で、本当は立ち入り禁止なのだが、随分と前、少女がこの中学校に通う前から、鍵が壊れていて入れるのだ。 誰も先生に言わずにいるし、修理の申請は生徒会が出しているのだろうが、ここのドアは不思議なことに直しても直しても壊れるから、学校側も諦めていた。 少女は、ドアの死角に当たるあたりに腰をおろしていた。 だれかが来たときになるべく見つからないようにだ。 今は授業中なので、だれも来ないだろうが…。 少女がいま、授業中にも関わらず屋上にいるのは、少女の格好に問題があった。 少女の髪の毛は、頭から水をかぶったかのように濡れていて、服もびしょびしょであった。 そんな格好では、授業にも出れない(出たくない)と思って、屋上の日当たりの良く、死角のなっているところで少女は横になって寝ているのだ。 寝ていると言っても、目を閉じているだけで意識はハッキリしていた。  
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