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チリン
風と生徒たちの声(体育でもしてるんだろう)の中、それは、舞い降りたように鈴の音が響いた。
「キリ…?」
少女は目を開き、体を起こすと、鈴の音のした方を見た。
そこには闇のような黒の綺麗な毛並みをした紫色の首輪の黒猫がいた。
黒猫は、にゃあ、と鳴くと、少女に近づいた。
「駄目だよ、今私、濡れてるから…。」
そう言いながらも嬉しいのか、頬を緩ませながら手を差し出した。
猫は目を細めて少女の濡れた手を拭くようにペロペロと舐めた。
「ふふっ、ありがとう。キリ。」
少女は、キリが舐めてくれた手で頭を優しく撫でた。
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