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あれは小学校に入学してしばらく経った頃だったか。たまたま体育の授業でドッジボールをやった時だ
クラスのやつの顔面にボールをぶつけちまったんだ
それだけならどこでもある話だが、こんなのは余談でこのとき先生が言ったあの一言で俺の人生は変わりはじめた
『おい浅海、オマエ野球をやらないか?』
俺は意味がわからなかった。体育のドッジボールで顔面にボールをぶつけたんだぞ?普通なら怒ったり何たりするだろう。そのときの俺はガキながらにこの先生が普通じゃないことはわかった
それから小学校を卒業するまでひたすら野球漬けの日々だった。そのころには、先生が俺に野球をするように言った意味も理解していた。いや、正確には理解していたつもりだった。俺は肩の力が強くて、投手に向いていたってことだ。実際、リトルリーグでの平均の球速が90km/hなのに対して俺は110km/hを投げるくらいにまでなっていた
もちろんそれまで辞めようと思ったことは何度もあるし数えきれないほど投げ込みもした
でもここまでする必要はないのに…と、俺はそう思っていた。あの話を聞くまでは――
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