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先生は俺に古い写真とボロボロになった雑誌を手渡した
写真にはプロ野球のチーム『京都オリジン』のメンバーが写っていた。おそらく20年くらい前のものだろう
そして雑誌のほうには、こんな記事が……
『京都オリジンの剛腕投手・浅海竜一選手死亡』
え…浅海って…
そう、それは俺の親父が死んだ時の記事だった。原因は親父の才能を妬んだ同じチームの投手が刺し殺したんだそうだが、こんなこと今まで聞いたこともなかったぞ…
そして写真に目を戻すと、中央に俺とよく似たヤツが立っていた。その隣に居るのは…先生だ
俺は全てを聞いてしまった。親父と先生が小学校から同じチームでプレイしていたこと、親父が将来自分に男の子が生まれたら野球をさせて自分と同じような剛腕投手にさせたかったこと、もし何かの事情で自分が死んでしまったら代わりに夢を叶えてくれと頼んでいたことなど色々
先生は親父との約束を守るために俺に声をかけたんだ
ドッジボールの球がどうこうじゃなく、はじめから俺に野球をさせるつもりだったんだ
肩が強かったからやらせようとしたと思っていた俺の予想はまったく違ったわけだ。肩が強いのは当たり前だった。血筋なんだから。
俺はそれから先生に誓った。俺は必ず日本で一番の投手になると。
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