約束のマウンド

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俺はひたすら特訓に明け暮れた。睡眠時間を2時間くらいに削って死ぬ気で特訓したんだ 俺が三年になった最後の夏の大会、俺はこれまでレギュラーに選ばれても辞退してきた。変に特訓の成果を見せたくなかったからだ 夏の大会、俺は155キロまで出るようになったストレートとスローカーブ、高速スライダーとフォークを使い分けて地方大会はもちろん甲子園の決勝進出まで全て完封してきた ここまで来るとプロのスカウトが黙っていない。次の決勝で勝てば間違いなく全球団からドラフト指名が来るはずだ 俺は先生に報告しようと携帯に電話をかけた。でも電話に出たのは先生の娘で、何故か泣きながら話している 『父は…ついさっき病院で亡くなりました』 嘘だろ…たしかに先生は癌で入院していたけどまだ一年は保つって医者は言ってたじゃないか…どうしたらいいんだよ… 『父から貴方に伝言が…今、オマエは俺とオマエの親父、二人の夢を背負っていることを忘れるな。勝て。と…』 …先生、俺は今までお世話になった恩返しも出来てない。俺のために貴重な時間を裂いてまで俺をここまで強くしてくれたんだ。必ず勝つ。それが先生への、そして親父への供養だ! そして決勝・相手はやはり最強の鳳凰学園だった。さすがに今までの相手とレベルが違い、俺の球も打たれてしまったが得点は入れさせなかった 試合は完全な投手戦となり0点のまま試合が進んだが9回の表、俺たちの攻撃で1点入れたんだ 9回裏・2アウトでランナーはいない。相手はホームラン量産マシンと言われる一色という打者だがこれを抑えれば俺は間違いなく日本で一番の投手だ! 俺は一番の得意球、ストレートを全力で投げた。何かが後押しするようにボールが伸びる 球場内がどよめいた。何と160km/hもの球を投げていたのだ 《凄まじい豪速球です!かつて高校生でこれほどの球を投げたのは伝説の投手・浅海竜一以外に存在しません!さすがは血筋とでも言いましょうか!》 そうか…親父も空の上から俺を応援してくれてんだな 2球目もストレートでストライクをとった。相手は高校最強の4番打者だけに気は抜けない。そして最後もやっぱりストレートだ 金属音が響き渡った。俺の全力で投げた球が当てられたのはわかったが、そこから先のことは何故かまったくわからない
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