雪のおかげ

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「裕二遅いわね」   外を見ながら優花はつぶやいた。 外は今年初めての雪化粧になっていた。   「事故ってなきゃいいけどな」   そう言いながら智之も、不安げに窓の外を眺める。 新しいギタリストのオーディションは、いつもプシュケが練習で使っているスタジオで行われる。 しばらくすると沈黙が続いたスタジオにドアが開く音が響く。   「悪い悪い。雪で渋滞しちゃって」   裕二はペコペコと頭を下げる。   「何人か集まってんだ。時間過ぎてるし始めるぞ」   智之がそう言うと、優花が集まってくれた4人を別の部屋へ呼びに行った。
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