声…

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声…

貴方からの電話。 もうないかもしれない。 そう思って消せない留守録。 ふと思い出して聞いてみる。   低くて落ち着いてて、 優しい声。 何気ない内容の留守録。 受話器をぴったり耳に付けて、 目を閉じて貴方を想いながら聞く。 いつもより声が近く感じて、 なんだかくすぐったい。   もう貴方からの電話はないかもしれない。 本当は毎日 声を聞きたいけど。 本当は毎日 会いたいけど。 それはワガママだから。 私の想いは届かないから。 ただの友達だから。 ううん。 友達よりも遠いかもしれない。 これ以上 近付く事はない。 だから私は消せない。 貴方の声を。 貴方への想いを。   私の想いが届いて。 私の声を聞いて。 それは言わない。 それは願わない。 ただ1つだけ。 許されるなら。 私の事を嫌わないで…。  
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