1章 誓いの時

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  「それ、で…。私への選択肢は何があるの?」 小声で見えない者へ問い掛ける。 『…主へ我が与えられる選択肢は二つ』 一つ、強さとこの試合を拒否し、日常へ戻る。 二つ、強さを求め、この試合と我を受け入れる。 『二つ目の選択肢は荊の道。心身共に苦しい道となる』 それでも、強さが欲しいと願うか? 「私、は…」 少女が、二つ目の部屋を確認したらしく、ゆっくりと私が居る部屋へ向かってくる。 怖い、恐い! 本当はこんな事から今すぐ逃げ出したいし、全てを拒否したい。 なのに、そうしないのは、何故? 考え込んでいると、見えない者が私へ語り掛けてきた。 『…それでも、主が荊の道を選ぶのならば』 我は、全力で主を守るぞ? そう言う見えない者の声が、酷く優しくて。 何だか、落ち着くよう。 …あぁ、そうか。 私は、この人を信じているのだ。 出会って数十分。 私を認め、受け入れ、守ると言ってくれたこの人を。 信じたいのだ。 「…私は、貴方を受け入れる!」 その言葉と同時に、少女が部屋に入ってきた。 「あ、いたいた!」 嬉しそうに話す少女の言葉は、もう入ってこない。 『…良く、言ってくれた。ならば我の名を叫べ。 我の名は…』 「さぁ、アナタはここでオシマイよ!」少女の手に握られた札がバチバチと電流を帯びる。 しかし、もう恐怖は無い。 私は一度目を瞑り、ゆっくり開いて、叫んだ。 「阿修羅っ!」  
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