序章 黒の始まり

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  「痛いっ!止めてよ…!」 あぁ、まただ。 また自分の無力さを感じてしまう。 最近よく見る光景。 1人の少女が2人の男子によって苛められるという、悪質なソレ。 しかも『苛め』の方法は悪口や陰口といった陰湿なそれでなく、只、拳を彼女に振るうという姑息なもの。 『一人に対して二人がかり』とか『男子が女子に対して苛め』とか、矛盾は沢山あって。 指摘するような理由は、数えきれない程、ある。 助けてあげたい そうは思うのだが、生憎私は少しばかり頭が良いだけで、強くなどは、ない。 助けに行った所で、何も変わりはしないだろう。 どうする事もできない事実に、只々やるせない気持ちになる。 「うっせぇんだよ!」 「黙って殴られてろ、ブス。」 なんて救いようのない馬鹿共。 痛い 痛い 痛い 痛い! 喚く彼女をひたすら殴る男二人。 なんて、なんて救いようのない男。 止めて 止めて 止めて! なんて、なんて救いようのない… 「誰か、助けて!」 哀れな私たち。 本当は分かってる。 強さの無い事を逃げ道にしているという事。 強くなくったって、彼らのしている事を指摘するのも、彼女の前に立つ事だって出来るのに。 彼らからの暴力が私に向く事が、報復が怖くて。 心の内で、彼らを責めるだけ責めて。 何もしないんだ。 私に、強さがあれば。 誰か、誰か。 どうか、どうか、私に強さを、下さい。  
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