序章 黒の始まり

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  一体、何が。 何が、起きたの? 「大丈夫か?」 ―…強さが欲しい そう強く願った瞬間、意識が飛び、次に気付いた時には、私の体は勝手に動いていた。 指を 腕を 足を 動かそうとしても、ピクリとも動いてくれない。 声を上げる事も 目を閉じる事も 何も、出来ない。 「全く。酷い奴らだったな。…余り、気に病むな?」 私でない誰かが。 今尚『私』を動かしている。 口調も 仕草も 心も そして、何より 『強さ』も 私とは全く違う『誰か』が、『私』の変わりに動いている。 まるで、 見えない鎖で、頭の天辺から足の指の先まで拘束されて。 布か何かを口に巻かれ、声を上げる事を禁じられたよう。 酷く 気持悪くて、息苦しい。 一体 何が、 どうなっているというの?   
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