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『…主が誰よりも強く其れを願ったからだ』
「…え?」
意味が、分からない。
私が強く願ったから何だと言うのだ。
こんな願いなら、私よりも強く願った奴らが沢山いるだろうに。
何故、私なのだ?
『主の願いは、一点の曇もなく、只々輝き、とても美しかった。』
私の願いが、美しい?
『強さが欲しい、というのは弱かれ強かれ、誰しも一度は願うものだ。与えられた者の殆んどは、その強さを自分の為に使う。』
他人の為でなく、な。
そう続けてる言葉。
淀みなく流れる言葉に、何と無く気持ち良さを感じる。
『力を誇示する為だけの者に、我は力を貸したくなど無いのだ』
はっきりと言い切った見えない者の言葉に、少しぼんやりとする。
『それに、』
そう言って続けられる言葉に、ぼんやりとした意識を集中させる。
『主が願った強さは、喧嘩云々の強さだけでなく"勇気"と言った面での強さもあるのだろう?』
そこも、気に入ったのだ。
そう言って見えない者は、にこりと笑ったような気がした。
私は…。
願いが光っていたから。
自分の為でなく、他人の為に『ソレ』を使う、と。
この人は、思ったというの?
そう、感じたというの?
『お前の為ならば、喜んでこの力を貸してやろう。
…但し、それには一つ、条件がある』
「…条件?」
自然と俯いてしまっていた、顔を上げ、考え事をするべく明後日の方向へ持っていった意識を、見えない者へ注ぐ。
『さよう。それは…、』
「みぃつっけた♪」
後ろから聞こえてきた、若干高めの声に、思わず体をビクリと震わせ、それが聞こえた方を振り向く。
「ふぅ。中々見付からないものなんだねー。」
何が?何を?
あなたは、誰?
見えない者がした、舌打ちが、やけに心に響く。
「だからね?貴方が私にとって記念すべき一人目の『魔なる物を秘めし者』なんだぁ」
魔なる物を秘めし、者?
「そして、記念すべき…」
『危ない!避けろっ!』
その声に、右へ半ば転がるようにして飛び退く。
「私へ一勝目をくれる人なのよね!?」
バチッ!
音が聞こえた方に反射的に目を向けると、さっきまで私がいたそこに、焦げ目が付いていた。
女の子の両手には何枚かの札が握られており、それがバチバチと放電していた。
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