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――見ず知らずの人間が、自分の真後ろに、それも手が届きそうな距離にいたら、きっと驚愕するのだと思う。
「って、近っ!?」
私は素直に、現在の感想を述べた。
その人物は、いや人物か?
果たして目の前の黒いものは人間なのだろうか?
いや、まぁそこへの議論は後にしよう。
私は目の前の物体を人間と認め、とりあえず自分の中で繰り返される問答に点をうつ。
しかしその人物が近いのだ。
息がかかりそうな、位置とこのこと。
爛々とした緋色の目が私を捉える。
気配もなく、足音もなく、気付いたら真後ろにいた。緋色の目をした、長い黒髪の人間(目以外の部分は全て黒に包まれているから人間かと一瞬迷う)
背丈は、私より弱冠高い。
ざっと私から見た、観察結果はこんなものだ。私の頭は嫌に冷静だった。
「え、誰……?」
無意識のうちに口から零れる。
我ながらナイス質問。
マジで誰なんだこいつは?
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