―最初―

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私は三秒でその沈黙に負けた。 「……ハロー?ハーアーユー?」 私の小さな脳みそを必死に絞り、発した言葉。 小学生だってこんな怪しい相手に、こんな事は言わないだろう。 私の中学時代が、どれほど勉強が薄かったかがよく解った。 もし明日、いつも通りに高校へ行けたら、「とっさの英熟語」ぐらい学んで来ようと思う。 まぁ明日高校へ行けたら、の話だが。 肝心の相手の反応はと言うと、 「?」 こいつ殴ってやろうか。 全くと言って良いほど通じていない。 言語だか何なんだかの壁が厚すぎる。 まるで私が馬鹿みたいだ。 事実馬鹿なのだが。 再び流れる沈黙。 せめてもの幸いは、こいつから殺意を感じないことくらいだ。  
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