―最初―

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  その沈黙中、私は自分が下校途中である事を思い出していた。 私は友達と別れ、家路についてる真っ最中だった。 たった十分前の出来事。 しかしそんな十分前が、果てしなく前に感じる。 でもよく考えたら、なんで私はこんな訳解らない怪しい人間(多分)と、異文化コミュニケーションを取っているのか。 どう考えたって、目の前のこいつは殺人鬼か、まぁよくったって宇宙人だ。 目的は分からないが、真っ黒装束なこのなりだ。ろくな目的はない。 そう考えると気が退ける。 もしかしたら、私の最期の言葉が「ハーアーユー?」になってしまうかも知れないのだ。 嫌だ。絶対嫌だ。 私は板垣なんとかのように、かっこいい言葉を言って死ぬって決めてるんだ――! 私はかかとを蹴って、とっさに身をひるがえす。 こういう時は「逃げる」という選択肢を連打するのが正解だ。 私の足は当ての無い夕闇に向かって駆け出した。  
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