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「うわーなんか田島らしいねー」
あははっと笑う水谷に、俺は「笑い事じゃねえっつの」とため息をつく。
「それにしても田島の欲しいものってなんだろ…。あ、エロ本とか?」
「あー…それも考えたんだけどさ、あいつこの前コンビニで山のように買ってただろ?」
「そういえば……じゃ、じゃー食べ物!」
「さっきクラスのやつらから両腕いっぱいになんか貰ってた」
「えーーー他に田島が貰って喜びそうなものってなんだよぉ」
お手上げ、とでも言うように机に突っ伏した水谷に
「こっちが聞きたい…」
と俺はもう一度ため息をついた。
するとさっきまで篠岡自作のデータノートを眺めていた阿部がこっちに近づいてくる。
「なに話してんの」
うんうん悩んでいた水谷は阿部に気付くと「あべ~~」と情けない声を出す。
「ねーね~~、田島の一番欲しいものって何かなぁ」
阿部はそんな水谷を冷ややかな目でみながら一言
「うざい」
と吐きすてると俺に向きなおった。
「で、田島の一番欲しいもの?」
「あ、あぁ…そーだ、おまえ三橋からなんか聞いてねぇ?田島の話」
田島と仲の良い三橋とバッテリー組んでる阿部なら、なんかしらの情報が入っててもおかしくなさそうだ。
と思って聞いてみたが
「聞いてるわけねぇだろ、こっちは普通にコミュニケーションとんので精一杯だっつの」
と一蹴された。
「そ…そうですね。」
三橋に聞こうと思っても大抵あいつら一緒に居るからさすがに聞けねぇし、泉はなんか口固そうだもんなぁ…
八方塞がりかよ…
う~~っと頭を抱えて悩んでいると阿部が言った。
「何にしても田島の誕生日忘れてたお前が悪いんだからちゃんと自分で考えろ、じゃねーと田島も納得しねぇだろうが」
阿部のもっともな発言に「うっ」とするが俺も負けじと反論する。
「んなこといったって…つーか阿部はちゃんと田島にメールかなんかしたのかよ」
「するわけねぇだろ、今日朝自分から『オレ今日誕生日!』って騒いでるからオメデトーとは言ったけど」
「な!だったらオレだってちゃんと言ったぞ!?」
さらりと言ってのけた阿部の言葉に耳を疑う。
「しらねーよ。まぁとにかく頑張って悩むんだな」
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